刺激物質が皮膚と接することで湿疹などの炎症反応を起こすことを接触皮膚炎(Contact dermatitis)といいます。「ハゼ負け」や「湿布負け」がその典型ですが、中には原因が分からない接触皮膚炎も多くあります。 |
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図1 湿布薬による接触皮膚炎 |
接触皮膚炎は、その原因により刺激性とアレルギー性に分けられます。石油が皮膚につくと誰でもかぶれます。これが刺激性接触皮膚炎です。一方、「ハゼまけ」は起こるヒトと起こらないヒトがいます。それは、アレルギーを獲得しているかどうかの違いによります。これがアレルギー性接触皮膚炎です。ヒトは様々な物質でアレルギーを獲得することが知られていますが、最近は金属アレルギーの増加が社会問題となっています。その理由の一つは、色々な金属が装飾品や医療材料として使われるようになってきたためと考えられています。 ところで、アレルギーはI〜IV型に分類されます(クームス分類)。I型アレルギーが即時型アレルギーといわれ、アナフィラキシーと呼ばれるショック状態を引き起こす危険なアレルギーです。 それに対して、IV型アレルギーは、遅延型アレルギーと呼ばれ、原因刺激が起こった後24〜48時間後に反応が起こります。接触皮膚炎は、その多くがこのIV型アレルギーで起こることが知られています。そのために原因物質の検索は困難な場合が少なくありません。何故なら、皮膚炎が起こっても、原因物質への接触は数日前であったりするために気付かないからです。この、IV型アレルギー(遅延型アレルギー)の原因検索方法は皮膚パッチテストしかありません。 |
<金属パッチテスト> <パッチテストパネル®(S)> |
現在、当院では接触皮膚炎のパッチテスト試薬は歯科金属スタンダート系列(トリイ)試薬と佐藤製薬製のパッチテストパネル®(S)を使って、皮膚パッチテストを行っています。 さらに、化粧品や薬品による接触皮膚炎に対しては、原因となる物質そのものを皮膚に貼るAs isでのテストを行っています。 |
<方法> |
皮膚(背中など)にテープで金属スタンダード系列を貼り、48時間後と72時 間後に判定します。できれば、一週間後にもう一度判定することをお薦めします(自己判定でも可)。 試薬を含んだ検査キット(絆創膏)を背中に貼り付けます。月曜日に貼った場合には水曜日と木曜日の判定になります。火曜日に貼った場合には、木曜日と金曜日に判定となります。また、試験キットを背中に貼り付けている間は、激しいスポーツや入浴ができません。 |
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![]() 目薬による接触皮膚炎 ![]() パッチテスト48時間で、2番(ヒアレイン)のみ陽性を呈しています。
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背中に検査薬がしみ込んだ絆創膏を張ります。 金属パッチテスト判定。48時間後の判定では明らかな陽性は認めませんが、72時間後の判定では、B(塩化第二スズ)D(塩化白金酸)に陽性所見を呈しています。 |
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パッチテスト判定基準 (日本皮膚科学会接触皮膚炎ガイドラインより) | |
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種々の金属による病型・病状によるその感作源 (日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドラインより) |
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