Herpes simplex virusによる感染症です。ヘルペスウイルスには一度感染すると生涯にわたって皮膚に常在(定着)します。一般的には初めて感染(初感染)すると症状が強く出ますが、2回目からは症状が軽くなります(再感染)。ただし、アトピー性皮膚炎などの皮膚の炎症を伴っている場合には、水疱が全身に出て、症状も強くなります(カポジ―水痘様発疹症)。 ところで、Herpesとは、「小水疱の集簇」と定義された皮膚の状態のことです。Herpes属に属するウイルスは現在8番目まで知られていますが、それぞれ起こす疾患が異なります。 単純ヘルペス1型は口唇ヘルペス、2型は陰部ヘルペスを起こしやすいとされていますが、近年は混合感染であったり、2型が口唇ヘルペスを作ることも知られています。初感染では口腔内や舌など広範囲に水疱を形成して、重症の場合には入院の適応になることもあります。一方、再感染の場合には数個の水疱形成で終わることがほとんどです。ただし、再発頻度はヒトによって違います。毎月できるヒトもいますし、一年に一度発生するヒトもいます。
治療:抗ウイルス薬の内服と外用を行います。 内服抗ウイルス薬:バラシクロビル(バルトレックス®)、ファンシクロビル(ファンビル®)があります。 5日間の内服および外用にてほとんどは消退します。ただし、陰部ヘルペスが頻回に出る患者さんには1年間の予防投与(毎日内服する)にて抑制する治療法も保険適応になっています。
右上口唇の単純ヘルペス。水疱と痂疲の付着を認めます(再感染)。 上口唇全体に単純ヘルペスを認めます。日焼けした後に発生しています。日焼けによって皮膚の局所免疫が低下することで単純ヘルペスが発生することがあります。 臀部の単純ヘルペス:水疱と紅暈を認めます。 カポジ―水痘様:アトピー性皮膚炎がある場合には単純ヘルペスが顔全体や全身に水疱が発生することがあります。 |