<定義> |
皮膚や粘膜の肉眼的に観察可能な出血(赤血球の血管外漏出)を紫斑と言います。硝子圧(透明なガラス板での圧迫)で消退しません。 紫斑を生じる疾患には様々なものがありますが、成因により紫斑病、血管炎、血行障害の3つに分けられます。 |
<分類> |
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紫斑はその大きさによって、点状紫斑、中間型、斑状紫斑に分けられます。 |
![]() Petechia
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![]() interminated
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![]() eccymosis
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出血の起こっている皮膚の深さによって、潜在性、中間性、深在性に分けて考えます。その深さによって、臨床症状も予後も異なります。 |
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炎症を伴うか伴わないかによって、紫斑は分類されます。一般的には炎症を伴う紫斑については、注意が必要です。 |
@老人性紫斑 |
加齢による皮膚血管の老化が原因で、軽微な外傷でも血液が皮膚に漏れ出る現象です。ワーファリンなどの抗凝固剤内服中によくみられます。予後は良好ですが、特効的な治療法はありません。ヘパリン類似物質外用剤(保湿剤)にて軽快することがあります。 |
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加齢により表皮が薄くなることで、軽微は圧力でも皮下に出血を起こし紫斑を形成する。また、容易に表皮が剥がれる(Skin tare, スキンテア)ことがある。 |
Aステロイド紫斑 |
長期の副腎皮質ホルモン内服などによって血管が脆くなり出血を起こす現象です。 |
B血小板減少性紫斑 |
原因不明の血小板減少により、皮膚〜皮下に出血を生じる。 細菌やウイルス感染症に続発する場合もありますが、脾腫などに伴って起こることもあります。血小板減少の程度によっては、脳出血などろリスクがあり、緊急性を要する場合も少なくない危険な紫斑です。 |
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特発性血小板減少性紫斑:原因不明の血小板の減少によって紫斑を生じます。やや大型の紫斑で、下腿よりも趾尖や踵部に大型の紫斑を生じるのが特徴です。血小板が2万を切るように場合には、脳出血などのリスクがあり、緊急性の場合もあります。最も注意が必要な紫斑です。 |
Cうっ滞性紫斑 |
下肢などにタイツやストッキングなどの圧迫が加わって起こったり、長時間の起立姿勢後に生じたりします。大部分は予後良好ですが、後述のアナフィラクトイド紫斑などとの鑑別が重要です。 |
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タイツやストッキングなどでの圧迫によって下肢に出血を起こすことがあります。また、長時間の起立姿勢や歩行などの後でも生じるものを生理的紫斑(うっ血性紫斑)といいます。安静や保湿剤の外用によって消退する場合がほとんどです。 |
Dアナフィラクトイド紫斑 |
毛細血管レベルの血管炎で、最も頻度が高い。細菌感染(特に溶血レンサ球菌)、ウイルス感染に続発する場合が多い。皮膚だけではなく腎臓の血管などでも炎症を起こす可能性があり、全身的な加療を必要とします。 |
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アナフィラクトイド紫斑(シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、IgA血管炎)は紫斑病で最も頻度の高いものの1つであり、重症の場合には入院加療が必要です。小児の場合には溶血レンサ球菌感染症後に発症するものもあり、紫斑のほかに腹痛、関節痛を伴い、時には腎炎をおこし、腎機能障害まで引き起こすこともあります。治癒しても数か月間は血尿の有無を確認する必要があります。皮疹の特徴は、盛り上がった紫斑(Palpable purpura:触れる紫斑)であり、ガラス板などで圧迫しても赤みが引かない(ダイアスコピー法)のが特徴です。 |
Eマヨッキー血管拡張性環状紫斑 |
Fシャンバーグ病 |
G紫斑性色素性苔癬様皮膚炎 |
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H網状皮斑 |
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普段は、Livedoだけですが、夏場になると下腿に潰瘍を伴うことがあります。成因は不明ですが、下肢の安静と外用にて軽快します。 |
IASO,Blue toe syndrome |
糖尿病は高コレステロール血症などにより血管が老化することにより動脈が閉塞して起こります。また血管内のコレステロールが剥がれて末梢動脈を塞栓することで、抹消循環不全を起こし、皮膚が壊死することもあります(Blue toe syndrome)。 |
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J静脈瘤 |
血管の老化により、皮膚表面の表在性血管(静脈)が閉塞したり、静脈弁不全により静脈に血液が貯留して怒張した状態です。 |
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K下腿潰瘍 |
膝から足関節部の下腿部は、いろいろな原因により血液循環不全を引き起こしやすく、そのため皮膚の阻血を引き起こし、潰瘍を形成するようになる。様々な原因で引き起こされます。 |
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