熊本市中央区の皮膚科 水前寺皮フ科医院 【皮膚科・形成外科・アレルギー科・皮膚腫瘍科・性感染症内科】
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性病

■ 梅毒

性行為によって伝染する感染症を総称して性感染症(性病)を言いますが、その病原体は様々です。
戦後、性病の増加に対して、政府は昭和23年に性病予防法を制定し、梅毒、淋病、軟性下疳、鼠径リンパ肉芽腫の4つについては届け出を義務づけました。その後、抗生剤の普及に伴い軟性下疳や鼠径リンパ肉芽腫はほとんど報告されなくなっており、淋病や梅毒も確実に減少していました。ところが、2013年より梅毒の報告数が増加してきており、2016年には4,559例と著増しています。その原因は不明とされていますが、社会環境のグローバル化と関係しているのではないかとの意見もあります。
近年、日本における梅毒患者数は急増しており、2018年には7,000人に迫る勢いでした。2020年の梅毒患者数は5,805人と減少したようにも見えますが、新型コロナウイルス感染拡大によって減少したと予想されます。

熊本県における梅毒患者数は、2016年以降に激増しており、2020年は130人に達しました。この間の淋病、クラミジア感染患者数に変化がないにも関わらず、梅毒患者数だけが増加している印象があります。ちなみに、2020年に水前寺皮フ科にて治療を行った梅毒患者数は12名でした。

2020年第4四半期の熊本県における人口100万人当たりの梅毒患者数は、20.1人と全国5位の患者数でした。




梅毒トリポネーマ(Treponema pallidum)の感染により起こります。梅毒が他の性病と異なるのは感染しても直ぐには症状が出ないことです。梅毒はその症状により、1期から4期に分けられますが、抗生剤の普及により、近年は3期、4期梅毒の患者さんはほとんどいなくなっています。しかしながら、梅毒患者数は増加しつつあり、そのほとんどの患者さんは2期に病院を受診しているようです。
性行為により梅毒に感染し、3週間ほどで初期硬結といわれる結節が性器周囲に出現します。ただし、この初期硬結は1週間程度で自然消退します。その後3カ月程度で、バラ疹といわれる紅斑が全身に出現してきます。最も典型的な症状は手掌に出現する落塵を伴った紅斑(手掌乾癬)です。殆どの患者はこの段階で病院を受診しますので、それ以降の3期や4期まで症状が進行することは非常に稀と予想されます。
性行為によって伝染する感染症を総称して性感染症(性病)を言いますが、その病原体は様々です。
<診断>
梅毒の診断法には、梅毒トレポネーマを直接観察する墨汁法と血液検査があります。墨汁法は、初期硬結のびらん・潰瘍がある病変から直接病原体を採取する方法です。一方、血液検査には、リン脂質に対する検査と梅毒トレポネーマに対する検査があり、それを組み合わせて梅毒反応の陽性・陰性を判断します。ところが、血液検査が陽性になるには、感染して6週間程度の時間が必要です。仮に、梅毒に感染しても6週間以内に検査すると陰性となってしまいます。そこで、梅毒の診断には病歴が非常に重要になってきます。
梅毒トレポネーマ(墨汁法)
<治療>
ペニシリン系抗菌薬の投与にて治癒しますが、治療時期により血液検査の動きが異なります。早期に治療すると抗リン脂質抗体は消失しますが、梅毒トレポネーマ抗体は陰性にはなりにくい特徴があります(瘢痕性梅毒)。

■ 淋病、クラミジア感染症

淋病・クラミジア感染症は尿道炎を起こすことが多く、潜伏期は一週間程度で、排尿時の違和感、排尿痛、膿汁の排出が起こります。一般的には淋病の方が、症状が強くでる傾向があり、クラミジアは無症状の場合も少なくありません。特に女性では症状が出にくく、「静かなる性病」とも言われます。しかしながら、無治療で放置すると卵管炎などを引き起こして不妊の原因になる場合があります。
<検査>
血液検査にて抗体を検査する方法もありますが、過去の感染や肺炎など、他の亜種クラミジア感染症との交差反応があり、性病に罹ったことがなくても陽性になることがあります。基本的には病原体を直接に観察するか、PCR法にて病原体の遺伝子(DNA)を確認することで診断します。男性は検尿にて検査が可能ですが、女性の場合には子宮口の拭い液で検査するために内診が必要になります。
<治療>
淋病もクラミジア感染症も1週間程度の抗菌薬の内服にて治癒しますが、淋病ではペニシリン系、クラミジア感染症ではマクロライド系またはニューキノロン系が推奨されています。

■ 尖圭コンジローマ

ヒト乳頭腫ウイルス(Human papilloma virus, HPV)6、11型の感染によって発症する性病です。接触より1〜2カ月の潜伏期を経て陰部〜肛門周囲にイボ様の小腫瘤が多発してきます。その発症には、ウイルスに対する免疫力が関与しており、接触したヒトが必ず発症するものではありません。また、発症しても免疫獲得によって自然消退する場合もあります。
肛門周囲の尖圭コンジローマ。乳頭腫様の丘疹の多発を認める。
<診断>
基本的には視診によるが、確定診断には組織検査が必要です。
<鑑別診断>
脂漏性角化症との鑑別が大切です。
<治療>
一般的には予後良好ですが、完治までには長期間の治療が必要になる場合が少なくありません。これは、診断や治療効果の判定が視診によるしかなく、完治しないままに放置すると再発するためです。また、自己免疫疾患やステロイド内服中の患者さんの場合には免疫力が低下している可能性があり、より一層難治の場合があります。
1.冷凍凝固:ドライアイスや液体窒素を用いて腫瘤を冷凍凝固して治療しますが、大きな腫瘤には効きにくい傾向にあります。

2.ベセルナクリーム:皮膚に塗ることで、その部位においてインターフェロンなどのサイトカインの産生が促進され、ウイルス増殖抑制および細胞性免疫の活性化が起こるとされています。
塗るだけで簡単ですが、広範囲のコンジローマや大きくなったものには効かない場合も少なくありません。

3.5-FU軟膏、ブレオマイシン軟膏:共に抗がん剤であり、外用することで組織障害を起こして治療します。痛みを伴い、潰瘍を形成することがあります。また、保険適応外です。

4.ヨクイニン内服:ハト麦の粉を固めたもので、HPVに対する免疫力を高めるとされています。

5.手術+電気乾固:大きな腫瘤は手術的に切除するしかありません。ただし、切除しただけでは再発しますので、電気乾固にてウイルス自体を焼灼する必要があります。
<生活>
HPVは基本的には接触感染であり、直接病変部と接触することにより感染します。陰茎のコンジローマの場合にはコンドームを使用すると予防効果は高いですが、陰茎だけではなく、外陰部〜肛門周囲に発生することもあり、必ずしも万全ではありません。

■ 性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus)の感染で起こります。単純ヘルペスウイルスはType1とType2があります。Type1は口唇ヘルペスを起こすことが多く、Type 2が性器ヘルペスを起こすことが多いとされていますが、最近はType1による性器ヘルペスの報告が多くみられます。帯状疱疹のヘルペスは水痘―帯状疱疹ウイルス(Herpes Zostervirus)であり、同じヘルペス属ですが、全く異なるウイルスです。
臀部の単純疱疹。紅暈を伴った小水疱の多発を認める。
<症状>
陰部に小水疱が多発し、痛みを伴います。一旦、感染すると皮膚(粘膜)にウイルスが常在する場合が多く、定期的に再発することがあります
<治療>
抗ウイルス剤の内服および外用を行います。再発の場合には比較的短期で、略治しますが、初感染の場合には難治で重症化することがあります。また、頻繁に再発(毎月、ヘルペスが出る)場合には、一年間、毎日、抗ウイルス剤を内服するような治療法(難治性性器ヘルペス再発予防療法)もあります。
<生活>
水疱が出ていない時には感染性はないが、水疱があるときには接触感染で他人に感染する可能性があります。

■ 毛じらみ

陰毛に寄生する虱(シラミ)の感染によって発症します。体長は1〜2mm程度で、肉眼での確認が可能です。陰毛の根本にくっついていることが多く、吸血によって生存しています。頭皮に感染するアタマジラミとは種類が異なり、基本的には陰毛部にしか寄生できません。
<症状>
感染後、数日の潜伏期を経て、強い痒みで気づくことが多い。
ケジラミ
アタマジラミ

<治療>
スミシリンシャンプー(市販品)、スミシリンローション(医薬品)
<生活>
水疱が出ていない時には感染性はないが、水疱があるときには接触感染で他人に感染する可能性があります。

■ 膣トリコモナス、膣カンジダ(略)、疥癬:別項参照


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