ノミは、体調2〜3mm程度の昆虫で、種特異性が厳密であり、ヒトノミ、ネコノミ、イヌノミはそれぞれ人、猫、犬にしか寄生できません。ただし、一時的にはネコノミが人を吸血することがあります。また、戦後の日本では、ヒトノミやイヌノミは絶滅しており、唯一ネコノミだけが生存していると考えられます。 ネコノミのライフサイクル ネコノミは、猫から吸血して栄養を得ていますが、アタマジラミとは異なり卵から成虫まで猫毛に寄生しているわけではなく、様々な場所に生息しています。成虫は、猫に寄生すると直ぐに吸血を始めて、24〜48時間以内に産卵を始めます。1日に40〜50個の卵を産み、一生(30日〜120日)で1000個以上の卵を産むこともあります。虫卵は、猫から脱落して7日程でふ化します。幼虫〜さなぎまでは土の中や草むらに生息し、成虫になって初めて動物に寄生します。従って、成虫は駆除できても幼虫やさなぎを見つけて完全に駆除することは非常に困難とされています。また、ネコノミは、シラミやダニとは異なり、運動能力に優れており、地面から30〜40cm(体長の数百倍)もジャンプすることができます。ネコノミ症の刺し口が膝下に集中するのは、ネコノミが膝下の高さまでジャンプできるためと考えられます。 症状:ネコノミ症の特徴は、激しい痒みと水疱形成です。緊張性水疱が膝下に多発する場合にはネコノミ症を疑います。ただし、咬まれて1〜2回目は激しい痒みや水疱形成しますが、5〜10回ほど咬まれると慣れ(アレルギー寛容)が起こり、痒みも軽快して皮膚の症状も軽微になることがあります。 治療:ステロイド外用および抗ヒスタミン内服にて治療を行いますが、症状が強い場合にはステロイドの内服も併用します。 予防:室内でかっている猫にネコノミがついていた場合には、動物病院での治療が必要となります。猫から虫卵やサナギが環境中にばらまかれている可能性がありますので、室内を丹念に掃除することが大切です。特に、猫が好むソファーや寝具周りは丹念に清掃する必要があります。 |