熊本市中央区の皮膚科 水前寺皮フ科医院 【皮膚科・形成外科・アレルギー科・皮膚腫瘍科・性感染症内科】
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尋常性乾癬

<病因>
病因は基本的には不明です。ただし、最近の研究により乾癬になりやすい遺伝子がいくつか見つかっており、遺伝的な素因(体質)が関与していることは確かなようです。
そこに環境因子(喫煙、肥満、不規則な生活、ストレスなど)が加わった場合に発症すると考えられます。
日本人と比べて欧米人での発症が多く、このことも遺伝的な関わりを疑う理由の一つです。
<病態>
ヒトの皮膚は4週間程度で、入れ替わっています(表皮のターンオーバー)。
古くなった皮膚はフケとなって落ちますが、乾癬の皮膚は4〜5日間で入れ替わります。
つまり、その場所だけ、普通の5〜6倍のフケが落ちている計算になります。
乾癬の皮膚では普通の5〜6倍の皮膚を作る必要があるため、炎症が起こり、血管拡張が起こっているので紅く見えて、鱗屑(フケ)を付着するようになります。
また、時としてその炎症が皮膚に止まらず、関節にも及びます。さらに、慢性的な炎症は高血圧、高脂血症、心臓病などのいろいろな成人病を引きおこす原因にもなると考えられています。
実際、乾癬の患者さんのメタボリックシンドロームの合併率は正常人と比べて高いことが分かっています(糖尿病 1.71倍、高脂血症 2.73倍、高血圧 2.03倍)。
<疫学>
日本人での発症は人口の0.1%程度との報告がありますが、近年増加傾向にあります。
なお、欧米人では人口の2~3%が発症するとされています。
<臨床>
銀白色の鱗屑(カサカサ)を伴った紅斑ができます。
基本的には全身どこにでも皮膚症状がみられますが、好発部位は肘・膝などの四肢です。
頭部や爪に発生することもあります。
重症の場合には、紅斑以外にも水疱や膿疱、痂疲を伴うこともあり、また、皮膚症状以外にも関節痛などを伴う場合があります。
乾癬は臨床症状に応じて、尋常性乾癬、関節症性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬の4型に分類されます。

@尋常性乾癬
背部の乾癬病変。鱗屑を付着した紅斑。図2.肘の病変。
ダーモスコピーで特徴的なDotted vesselsが認められる。
爪乾癬。全ての爪が変形、肥厚している。頭皮乾癬。
A関節症性乾癬
関節症性乾癬。繰り返す関節の炎症により指関節の腫大や変形を来す。
B乾癬性紅皮症
全身が真っ赤な状態に陥る重症型の乾癬
C膿疱性乾癬
炎症が強く、紅斑部には膿疱(膿)を形成し、発熱や関節痛などを伴うこともある
乾癬ネットHP(https://www.kansennet.jp/about_care/chiryou/)より
<治療>
10年間で30%程度の患者が治っていたとの報告もありますが、基本的には難治の病気です。
完全に治すことよりも症状を抑えて日常生活に支障を来さないようにすることが治療の目標になります。
症状に応じて様々な治療法があります。日本乾癬学会は以前より乾癬治療ピラミッド計画なるものを提唱しています。
これは、症状の程度によって塗り薬→光線療法→飲み薬→注射の治療を規定したもので、日本では広く使われている概念です。
この治療計画ではピラミッドを登るほど効果的ですが、その分、治療費も高額になるのが特徴です。

1.外用療法
(ア)副腎皮質ホルモン(ステロイド)
急性期の炎症を抑えるには非常に効果的な薬ですが、長期間の外用にて皮膚の菲薄化など、様々な副作用があります。
また、大量に外用すると高血圧や糖尿病などの内科疾患にも影響を与えることがあります。
(イ)ビタミンD3軟膏
皮膚の分化を調整する作用があり、ステロイドと比べて副作用が少ないのが特徴です。しかしながら、炎症を取る働きはステロイドと比べて弱く、急性期の乾癬治療には効果が弱く、慢性期の乾癬治療に使われることが多い薬剤です。
最近は、ステロイドとビタミンD3軟膏の合剤が急性期から慢性期の乾癬治療に汎用されています。
ドボベット、マーディオックス
(ウ)保湿剤
慢性期の乾癬の治療には保湿剤の外用は必要不可欠です。
尿素軟膏、ヘパリン類似物質、ワセリンなどが汎用されます。

2.内服療法
ビタミンH、乳酸製剤、ビタミンC:乾癬患者の多くで、ビタミンH(ビオチン)の血中濃度が低いことが分かっており、それらの患者にビオチンおよび腸管からのビオチン吸収を助ける乳酸製剤やビタミンCを摂取することで症状が改善する患者がいることは分かっています。しかしながら、乾癬患者全員に効果的というわけではありません。
3.光線療法
・PUVA:光増感物質である。8‐MOP(ソラレン)を内服または外用してUVAを照射する治療法ですが、遮光の必要性や焼けムラの問題より、最近はあまり行われていません。
・ナローバンドUVB:311〜312ナノメートルという狭い範囲のUVBを全身に照射する治療法。

ほとんどの乾癬患者に有効ですが、定期的な通院が必要です。
初めから強い光を照射するとヤケドを起こしてしまうため、最初は少ない紫外線より照射して、次第に出力を上げていく必要があります。
最初は、1〜2回/週の照射が必要ですが、症状が軽快した場合には1回/2週間程度の照射で維持します。
デルマレイ-400
エキシマライト セラビームミニ
エキシマライトレーザー:308ナノメートルの単波長の紫外線を照射します。
局所的な効果はナローバンドUVBよりも高い。
ナローバンドUVBと同様に出力を漸増していく必要があります。

4.内服療法(免疫抑制)
(ア)チガソン:ビタミンA誘導体であり、皮膚の角質の正常化を引き起こすので効果的でするが、催奇形性の可能性があります。
従って、男性でも女性でも妊娠の可能性がある場合には使用できません。
また、内服を終了しても2年間は避妊する必要があります。
(イ)シクロスポリン:免疫抑制剤で、即効性があり効果的ですが、長期間の使用によって腎機能障害の危険性があります。
期間を限って使用するべき薬剤です。
(ウ)オテズラ:2017年に承認されたPDE-4阻害薬。チガソンやシクロスポリンと比べて副作用は少ないですが、効果が認められる割合も低い傾向にあります。また、新薬であり高価であることが問題です。
5.生物学的製剤
当院では導入は不可。維持療法のみ可能。
乾癬は皮膚に炎症が起こっている状態であり、その炎症には様々なサイトカインと言われるたんぱく質が関わっています。
このサイトカインを選択的に阻害する薬剤を生物学的製剤と言います。
日本においては、2010年にTNFα(Tumor necrosis factor α)阻害薬であるレミケードとヒュミラが乾癬治療に保険適応されました。
その後、2011年にステラーラ、2014年にコセンティクス、2016年にトルツ、ルミセフが発売され、現在、日本で乾癬の治療に使える生物学的製剤は6種類です。
効果や即効性にそれぞれ特徴があり、乾癬の症状に応じて薬剤を選択するべきです。
ただし、生物学的製剤の導入は日本皮膚科学会が認定している施設でのみ行われる治療法であり、クリニックでは一部の生物学的製剤の維持療法のみが可能となっています。
さらに、どの生物学的製剤も治療費が高額であり、一年間の自己負担(患者さんの収入に応じて違ってくる)は平均的な年収のヒトで25〜40万円程度になります。
(ア)レミケード
キメラ型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤。
点滴によって投与されるため、治療に2時間以上かかるので、外来化学療法部などで行われることが多い。
尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に適応がある。
(イ)ヒュミラ
完全ヒト型抗TNFαモノクローナル抗体製剤。維持療法としては、2週間に一度、皮下注射によって投与される。自己注射(自分で注射を行う)も可能である。尋常性乾癬と関節症性乾癬に適応がある。
(ウ)ステラーラ
完全ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤。維持期には12週間に一度の投与ができるために簡便であるが、他剤と比較して効果が弱く、即効性に欠けるところがある。尋常性乾癬、関節症性乾癬に適応がある。
(エ)コセンティクス
完全ヒト型IgG1ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤。維持期には4週間に一度、皮下注射を行う。即効性があり、以前の生物学的製剤と比較して副作用が少ないのが特徴である。
尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬に適応がある。
(オ)トルツ
ヒト化IgG4抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤。維持期は4週間に一度、皮下注射を行う。効果は高く、副作用が少ないのはコセンティクス同様である。
尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に適応がある。
(カ)ルミセフ
ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体製剤。
維持期には2週間間隔で皮下注射を行う。
尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に適応がある。


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