熊本市中央区の皮膚科 水前寺皮フ科医院 【皮膚科・形成外科・アレルギー科・皮膚腫瘍科・性感染症内科】

(爪)白癬(はくせん、水虫、たむし)

<病因>
白癬菌(カビ)の皮膚(角質)への侵入によって起こります。ヒトに感染する白癬菌は40種類以上存在しますが、日本における原因の90%以上はTrichophyton rubrumとTrichophytonmentagrophytesです。
<疫学>
世界的な大規模疫学調査では、その罹患率は足白癬:25%、爪白癬:13%との報告があります。高温多湿の日本ではその罹患率はもっと高いと予想されます。
<臨床>
紅斑、落塵、角質増生を認め、痒みを伴います。ただし、長期間治らない白癬の場合には痒みを感じなくなる場合があります。白癬菌に感染した皮膚は抵抗力が落ちているために細菌感染を起こしやすくなります。特に、糖尿病やステロイド内服患者で足白癬を放置すると蜂窩織炎や壊疽の原因になることもあります。また、足白癬や手白癬を放置すると爪まで白癬菌が入ってきて、爪が白くなったり、厚くなったり、破壊されたりします。足白癬や手白癬の状態で外用療法を行い、爪まで感染させないようにすることが大切です。ちなみに、白癬菌が感染した部位によって呼び名は違いますが、原因菌はほとんどが同じです。
足白癬(水虫)
頭部白癬(しらくも
体部白癬(たむし)



<検査>
@鏡検(KOH法):爪の一部を溶かして、顕微鏡で白癬菌を確認します。
A真菌培養:白癬菌には多くの種類があります。最も多いのが、Trichophyton rubrumです。そのほかにもいくつか種類がありますので、培地の上にカビを植えて菌を同定します。2週間〜4週間を必要とします。
<治療>
1.抗真菌剤の外用:1日に1回、塗り薬を塗ります。
2.爪白癬用の外用剤:爪白癬用の治療薬として現在2種類の液体抗真菌剤が発売されています。(ルコナック、クレナフィン)
3.抗真菌薬の内服:角化型白癬(皮膚が厚くなった水虫)や爪白癬では塗り薬だけでは完全には治らない場合があります。その場合には内服が必要です。現在、2種類の内服薬が発売されていますが、どちらも肝機能障害などの副作用のチェックが必要になります。
<内服薬>
@ネイリンカプセル:2018年に20年ぶりに発売された新しい経口抗真菌薬です。1日に1回内服します。内服期間は12週間ですが、その後薬剤が爪に1年以上残存します。国内第III相臨床試験において48週後の完全治癒率は59.4%、著効率:83.1%、有効率:94.4%であったとされています。

Aラミシール:1日に1回内服します。完治までは、半年から1年を必要とします。内服した患者の5%くらいで肝機能障害が起こりますので、内服前、内服2〜4週間後に採血検査が必要です。

Bイトリゾール:パルス療法(大量療法)。1日に8カプセル内服を1週間続けます。その後、3週間休薬。これを3ヶ月間続けます。治療は3か月で終了しますが、治るには半年〜1年を必要とします。肝機能障害を起こす可能性があるので、定期的な採血検査を必要とします。また、イトリゾールには多くの併用禁忌薬があります。
<イトリゾール併用禁忌薬>
2008年3月の時点で,ピモジド,キニジン,ベプリジル,トリアゾラム,シンバスタチン,アゼル,ニジピン,ニソルジピン,エルゴタミン,ジヒドロエ, ルゴタミン,バルデナフィル,エプレレノン,ブロナンセリン,シルデナフィルは併用禁忌
<生活>
患部を清潔に保ち、高温多湿をさけ、家族など周囲に白癬患者がいる場合には、全員が治療するように心がけましょう。
感染源になる可能性が高いスリッパ、サンダル、足ふきマットなどは共用を避け、頻回に日光消毒などを心がけてください。


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